ウォルフ波動の基本概念
ウォルフ波動とは、エリオット波動理論を応用したテクニカル分析手法の一つです。ドイツの物理学者ビル・ウォルフ氏とその息子のブライアン・ウォルフ氏が見つけ出しました。
エリオット波動理論は、市場の価格変動が特定の波のパターンに従って進んでいくという仮説に基づいており、ウォルフ波動は、このエリオット波動理論の特徴をベースにトレンドの転換を予測しようとするものです。
ウォルフ波動の特徴としては、相対的な価格の波の高さや長さを観察し、それを基に次の価格変動の方向や目標を予測することができる点が挙げられます。また、フィボナッチ数列との関係も重要であり、価格変動がフィボナッチ数列に比例して進むことが多いとされています。
ウォルフ波動の特徴
ウォルフ波動はエリオットがベースとなっているため、5つの波を基準に考えます。
基本的なルールとしては、
① ダウ理論にならい1、3、5がそれぞれトレンド方法に高値安値を更新、2、4も同じく高値安値を更新する
② 1と4を結んだラインが、トレンド方向と逆に傾く
③ 2から3は、1から2よりも127.2%~161.8%まで伸びる
④ 5からの波が一番長くなる
などがあります。
ウォルフ波動のメリット
FXトレーディングにおいて、ウォルフ波動を活用することにはメリットとデメリットがあります。その主な利点をそれぞれご紹介します。
メリット1 エントリー&利確ポイントが明確になる
従来のテクニカル分析手法では、サポートラインやレジスタンスラインの探索、複数の指標の併用、エリオット波動やダウ理論の適用など、売買のタイミングを見極めるのが難しい場合がありました。しかし、ウォルフ波動を正しく描けば、比較的簡単に売買のシグナルを捉えられるようになります。
メリット2 上値と下値を早く予測しやすい
ウォルフ波動が出現する箇所は、主にチャートの天井圏や底値圏で現れます。また、他の手法より先行してトレンド転換を示唆する場合があります。
メリット3 狙える利益が大きくなる。
ウォルフ波動のパターンは、大きなトレンド転換を捉えることを目的としているため、売買によって得られる利益幅が大きくなる傾向にあります。
その一方で、エントリーからの損切りラインまでの距離は比較的短く設定できるので、リスクを抑えた取引が可能になります。
ウォルフ波動のデメリット
デメリット1 出現頻度が少ない
ウォルフ波動は、トレンド相場中にのみ形成される比較的希少なパターンです。
トレンド相場自体の発生割合が2~3割程度とされていることから、ウォルフ波動の出現頻度も高くありません。したがって、単独でこのパターンを見つけるのは難しい場合があります。
デメリット2 必ずしもトレンド転換を意味しない
ウォルフ波動が現れたからといって、確実にトレンドが反転するわけではありません。時にはトレンドの勢いが強く、期待した転換が起こらないことがあります。
そのため、エントリー後は必ず損切りラインを設定し、含み損が拡大する前に自動的にポジションを手仕舞いできるよう備える必要があります。
デメリット3 他の指標や相場状況も考慮する必要がある
ウォルフ波動は他のテクニカルに比べて単独反応する場合が多いです。そのため、エントリーや利確のタイミングを完全に捉えきれない可能性があります。
チャート上でウォルフ波動が出現した場合でも、MACDやフィボナッチなどの他の指標ではまったく反応していないことも多々ありますので、様々な要素を総合的に勘案することが賢明です。
ウォルフ理論に沿って波を目視で拾うのはかなり難しく、また波動の完成と未完成の差が少なく人によって判断が異なりやすいので、インジケーターを補助的に利用するのがおすすめです。
そこで次からは、機械的にウォルフ波動を拾ってくれるインジケーターを紹介していきます。
ウォルフ波動を拾ってくれるインジケーター4選
フィボナッチをベースにウォルフ波動を視覚化「WolfeWave_indicator_ver7.0」
WolfeWave_indicator_ver7.0はフィボナッチを取り入れて厳密にウォルフ波動を見つけてくれるインジケーターです。
歴史の長いインジケーターで、少しずつバージョンアップを繰り返して精度をあげ、ウォルフ波動を見つけるインジケーターの中では特に人気があり、万人におすすめできるインジケーターです。
ウォルフ波動を視覚化するインジケーター「WolfeWave_1」
こちらは、ウォルフ波動の波の長さを測り、より厳密なルールでウォルフ波動を見つけてくれるインジケーターです。
カウントは1~4までされて、5番目のエントリーは裁量判断となります。
チャートには多くのラインが引かれるので少々見にくいですが、パラメータから表示のオフも可能です。
ウォルフ波動で優位性の高いエントリーと利確ポイントを見つける
こちらは全ての通貨と時間を監視し、ウォルフ波動を監視してくれるインジケーターです。
ルールは厳格で出現率は低いですが、全通貨を監視して一覧表示してくれるためチャンスを逃しません。精度も高くて現存するウォルフ波動インジケーターの中では一番の機能を誇っています。
ZigZagをベースにウォルフ波動を見つける「Wolf」
ZigZagをベースにウォルフ波動を見つけてくれるインジケーターです。
フィボナッチルールが緩いため、厳密にはウォルフ波動と言えるかは微妙ですが、他のウォルフ波動と異なる箇所に出現し、実際にある程度機能することが確認できています。
普段ZigZagを表示している人にはおすすめできるインジケーターです。
ハーモニック+ウォルフ波動「54_Search_patterns」
ハーモニックパターン表示がベースのインジケーターですが、ABCDパターンやウォルフ波動を合わせて表示ができる万能型インジケーターです。
ツールとしては重めなので、たくさんのチャートで同時に動かす場合は不向きですが、単体では使いやすいインジケーターです。
スィートゾーンを表示してくれるウォルフ波動インジケーター「wolf-waves-scanner」
通常のウォルフ波動は1~5のポイントで厳密に判断しますが、エントリーポイントに黄色いスィートゾーンを採用してエントリーしやすくしたインジケーターです。
これによって、5番目のポイントを突破したときでもある程度余裕をもってエントリーすることができます。
ZigZagベースのウォルフ波動を表示
こちらは少し毛色が違うウォルフ波動インジケーターです。
ZigZagをベースとしており、1~5番までしっかりとカウントしてくれますが、序盤に形成したライン外のところでも5番のエントリーポイントが表示されるため、ウォルフ波動をある程度理解している人でないと使いこなすのは難しいかもしれません。
ちょっと変わったウォルフ波動インジケーターがほしいという方向けです。