Average True Rangeの見方|MT4標準ATRの使い方と期間設定
Average True Rangeは、相場がどれくらい動いているかを確認するためのMT4標準インジケーターです。
名前が長いので、普段はATRと呼ばれることが多いです。チャートの方向を当てるためのサインツールではなく、現在の値幅やボラティリティを数値で確認するために使います。
ローソク足の見た目だけで「今日はよく動いている」と判断すると、チャートの拡大・縮小によって感覚がズレることがあります。MT4ではチャートの表示幅が自動で調整されるため、同じようなローソク足の長さに見えても、実際のpips幅がまったく違うことがあります。
そのため、相場の動きが大きいのか小さいのかを確認したいときは、ATRの数値も見ておくと判断がブレにくくなります。
ATRはMT4のナビゲーター内にある「オシレーター」フォルダへ、Average True Rangeという名前で標準搭載されています。もし見つからない場合は、下記からもダウンロードできます。
Average True Rangeとは?MT4標準ATRの基本
ATRは、特定の期間における平均的な値幅を表示するインジケーターです。
一般的には14期間がよく使われます。日足なら過去14日、1時間足なら過去14本の1時間足、5分足なら過去14本の5分足をもとに、平均的な値動きの幅を見ます。
ATRの値が高いときは、相場の値幅が大きい状態です。
ATRの値が低いときは、相場の値幅が小さい状態です。
ATRは方向を示すものではなく、値動きの大きさを見るためのインジケーターです。
たとえば、ATRが高い時期は利益を伸ばしやすい一方で、逆行したときの損失も大きくなりやすいです。反対にATRが低い時期は、値動きが少なく、利確目標まで届きにくいことがあります。
ATRの計算方法
ATRを計算するには、まずTrue Rangeという値幅を求めます。
True Rangeは、次の3つの中で一番大きい値を使います。
- 現在の高値 − 現在の安値
- 現在の高値 − 前回の終値の絶対値
- 現在の安値 − 前回の終値の絶対値
この中で一番大きい値を使うことで、前回終値からの窓開けや急な価格変動も含めて、実際の値幅を見やすくしています。
一般的な14期間ATRでは、最初に14本分のTrue Rangeを平均し、その後は次のような形でならしていきます。
現在のATR = (以前のATR × 13 + 今回のTrue Range) ÷ 14
計算式だけを見ると少し難しく感じますが、実際に使うときは「ATRが上がっているか、下がっているか」「今のATRが普段より大きいか、小さいか」を見るだけでも十分役立ちます。
ATRが大きくなっているときは、相場の値動きが活発になっています。ATRが低いときは、相場が落ち着いている、または値幅が出にくい状態として見ます。
ATRの代表的な使い方
① 損切り幅の目安に使う
ATRは、損切り幅を相場の値動きに合わせて調整するためによく使われます。
毎回固定で10pips、20pipsと決める方法は分かりやすいですが、相場によっては狭すぎたり、逆に広すぎたりします。
例
現在のATR:20pips
損切り幅:ATR × 1.5
損切り幅の目安:30pips
このようにATRを使うと、今の相場の値幅に合わせて損切り幅を考えやすくなります。
ただし、ATRだけで損切り位置を決めるのではなく、直近高値安値や水平線も合わせて確認したほうが自然です。
② 利確幅の目安に使う
ATRは、利確目標を考えるときにも使えます。
たとえば、現在のATRが20pipsなのに、短期売買で100pipsを毎回狙うのはかなり無理があります。反対に、ATRが大きく広がっている相場で利確を近く置きすぎると、伸びる場面を早く降りすぎてしまうことがあります。
例
現在のATR:20pips
利確目標:ATR × 2
利確幅の目安:40pips
損切りと利確をATR基準で考えると、リスクリワードを数値で確認しやすくなります。
③ トレードを控える判断に使う
ATRが極端に小さいときは、相場の値幅が出にくい状態です。
こういう場面では、ブレイクしたように見えてもすぐ戻されたり、利確目標まで届く前に反転したりしやすくなります。
値幅が出にくい
レンジが狭い
スプレッドの影響を受けやすい
抜けたように見えて戻されやすい
特にスキャルピングでは、ATRが低い時間帯に無理に入ると、スプレッド負けしやすくなります。
ATRは「今はトレードしてよい相場か」を確認する補助としても使えます。
④ ブレイク狙いのフィルターとして使う
ATRが低い状態から少しずつ上がり始めると、相場の値幅が広がり始めている可能性があります。
レンジ相場が続いたあとにATRが上がり始め、同時に価格が高値や安値を抜けてくる場合は、相場が動き出すきっかけになることがあります。
レンジ相場から値幅が広がり始める
ブレイク後にATRが上昇する
低ボラ相場からトレンド相場へ移る
ただし、ATRが上がっただけでエントリーするのは危険です。価格がどのラインを抜けたのか、出来高やローソク足の反応はどうか、上位足の方向と合っているかを確認したいです。
ATRはエントリーではなく判断補助に使う
ATRは売買サインを出すインジケーターではありません。
ATRが上がったから買い、ATRが下がったから売り、という使い方ではなく、損切り幅、利確幅、ロット、トレード可否を考えるために使います。
ATRで見るもの:相場の値幅
ATRで決めやすいもの:損切り幅、利確目標、ロット調整
ATRだけでは分からないもの:上昇するか下落するか
実際のトレードでは、ATR単体ではなく、トレンド系、ライン系、ローソク足、フィボナッチなどと組み合わせると使いやすくなります。
たとえば、水平線を上抜けたあとにATRが上がり始めているなら、値幅が出る可能性を確認できます。反対に、価格だけが少し抜けてもATRが低いままなら、飛び乗りは少し慎重に見たい場面です。
MT4標準ATRとカスタムATRインジケーターの違い
この記事で扱っているAverage True Rangeは、MT4に標準搭載されているATRの見方です。
標準ATRは、サブウィンドウにATRのラインを表示するシンプルなインジケーターです。値幅の増減を見るには十分ですが、損切りラインを自動で出したり、ロット計算をしたりする機能はありません。
| 種類 | 主な役割 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| MT4標準ATR | ATRの数値推移を確認する | ATRの基本を理解したい人、シンプルに値幅だけを見たい人 |
| カスタムATRインジケーター | ATRライン、損切り幅、利確目標、ロット計算などを補助する | ATRを実際のトレード管理へ使いたい人 |
ATRの基本を知りたいなら、まずは標準ATRで十分です。
一方で、ATRを使った損切りライン、利確目標、出来高との組み合わせまでまとめて確認したい場合は、専用のまとめ記事で見るほうが探しやすいです。
ATR系・出来高系のカスタムインジケーターを比較したい場合は、こちらでまとめています。
ATRを使うときの注意点
ATRは方向を教えてくれない
ATRはボラティリティを見るインジケーターです。
ATRが上がっているときは、相場の値幅が大きくなっているだけで、上昇するか下落するかまでは分かりません。
急騰でもATRは上がりますし、急落でもATRは上がります。乱高下しているだけでもATRは上がります。
ATRが高い相場ではロットを見直す
ATRが高い相場は、値幅が出やすいぶん、逆行したときの損失も大きくなります。
損切り幅をATRに合わせて広げるなら、ロットは下げる必要があります。
ATRが高い
損切り幅が広くなる
同じロットで入ると損失額が大きくなる
ロットを下げてリスクを合わせる
ATRを使っているのにロットを調整しないと、かえって1回の負けが大きくなりやすいです。
時間足ごとにATRの意味は変わる
ATRは、表示している時間足に対する平均値幅を出します。
5分足のATRと日足のATRでは、見ている値幅の意味がまったく違います。
5分足ATR:短期売買の値幅確認
1時間足ATR:デイトレードの値幅確認
日足ATR:スイングトレードや大きなボラティリティ確認
自分のトレード時間軸に合わせて、どの時間足のATRを見るのかを決めておくと判断しやすくなります。
Average True Rangeまとめ
Average True Rangeは、MT4に標準搭載されているボラティリティ確認用のインジケーターです。
売買サインは出ませんが、相場の値幅を確認するうえではかなり使いやすいです。
ATRは相場の値幅を見るインジケーター
ATRが高いほど値幅が大きい
ATRが低いほど値幅が小さい
損切り幅や利確目標の目安に使える
低ボラ相場を避ける判断にも使える
ATRだけでは上昇・下落の方向は分からない
ATRは、派手なインジケーターではありません。
しかし、損切り幅、利確目標、ロット調整、トレードを見送る判断に使えるため、裁量トレードではかなり実用的です。
まずはMT4標準のAverage True Rangeで値幅の感覚をつかみ、そのうえで必要に応じてATR系のカスタムインジケーターを試すと、役割の違いも分かりやすくなります。








