サブプライムローン

サブプライムローン

サブプライムローンとは、アメリカで行われていた信用度の低い人向けの住宅ローンのことです。信用度の低い人というのは、過去に返済しなければいけないお金を延滞したり、自己破産の経験があったりする人を指します。

通常、住宅や車などのローンを組むことは難しいのですが、サブプライムローンでは審査基準がゆるかったために低所得者層をはじめとする多くの人々が飛びつきました。

では、なぜ世界経済に大きな影響をおよぼすほど大きな問題となったのかを詳しく見ていきます。

サブプライムローンの特徴

サブプライムローン

サブプライムローンが人気だった理由に、まず審査基準がゆるかったことが挙げられます。審査時間は1件につき10秒と言われるほど短く、粗末なものでした。

また、金利変動型で数年後に返済利息が不当に高くなるものの、初年度の利息が頭金以下に設定されていたため、支払額がどんどん上がっていくということをあまり考えずにローンを組んでしまう人たちが大勢いました。

しかし、サブプライムローンが販売されていた当時、アメリカの住宅価格が年々上昇しており、数年後に返済額が上がっても、購入した住宅を担保にして別の金融機関で他のローンに借り換えしてしまえば返済が可能だったため、低所得者を中心に広まっていきました。

さらに、ローンを販売していた会社はサブプライムローンの活況をみて、販売ターゲットを低所得者だけでなく中~高所得者へ販売経路を拡大していきました。これが後の金融危機に繋がります。

 

証券化

サブプライムローン

また、サブプライムローンが広まりすぎた原因の一つに『証券化』があります。

証券化とはひとことで言うと、住宅ローンを金融商品として販売することです。

通常、返済が滞ってしまった場合、リスクを負うのはサブプライムローンを販売するローン販売会社になります。

しかし、ローン会社は住宅ローン証券(MBS)という債権を組み込んだ証券発行し、不動産を証券化を主目的とする特別目的会社に売却しました。

さらにその後、特別目的会社はMBSをいろいろな証券とごちゃまぜにした証券に変えて投資家へ販売しました。それらが投資家の手に渡ると同時にリスクも転嫁されるという仕組みです。

証券化することで金融機関のリスク回避だけでなく、より多くの証券を購入してもらうことが利益につながっていたため、金融機関は積極的に販売していきました。

そして、証券化された商品はアメリカだけでなくヨーロッパにまでも広がり、サブプライムローンはますます過熱していきました。

 

サブプライムローンが与えた影響

サブプライムローン

『アメリカでは住宅価格は永遠に上がり続ける』という予測があったために人気が高まっていたサブプライムローンですが、突如住宅価格上昇が止まってしまいます。

住宅価格上昇が止まると、担保(住宅)の力が弱くなり、他のローンへの借り換えができなくなります。

借り換えができないということは、金利の高いサブプライムローンの返済を、少ない給料でなんとか賄うしかありません。

しかし、低所得者層にとって給料からの返済は金利があまりにも高すぎるため、返済が滞っていきます。

さらに、この問題が浮き彫りになったことで証券化された商品が相次いで売却され値下がりしていきました。

これらの商品は、サブプライムローンと通常の住宅ローンとが混ざったわかりにくい状態で販売されていたため、どの商品にサブプライムローンが含まれているかがわからない投資家たちは、とにかく手元の証券を片っ端から売却していきました。

その結果、市場価格は暴落し、証券化に関わっていたアメリカの大手証券会社ベアスターンズや政府系金融機関ファニーメイ・フレディマックをはじめとする大手金融機関が経営破綻に追い込まれました。

当初は、民間の金融機関やアメリカ財務省がそれぞれに救済措置を講じており、同じく、倒産寸前の大手投資銀行リーマンブラザーズも大手金融機関バンクオブアメリカから救済を受ける予定でした。しかし、負債額が大きすぎたために断念、アメリカ政府も救済せず、リーマンブラザーズ社は経営破綻してしまいます。

これにより、世界中を不況へを向かわせたリーマンショックが発生しました。

リーマンショック後は、アメリカでは国内消費および他国からの輸入が減少、証券化された金融商品を販売していたヨーロッパへの影響も大きく、投資銀行が次々と倒産し、資金調達に困る企業が続出しました。

 

日本が受けた影響

日本では、サブプライムローンを含む金融商品の販売がほとんどなかったため、リーマンショックによる影響は少ないとされていました。

しかし、アメリカの国内消費が減少したことで、多くの製品を輸出していた自動車業界や電気メーカーは大打撃を受けました。

また、アメリカやヨーロッパの不況は、当時すでに世界最大の工業製品生産国になりつつあった中国経済に直接打撃を与え、多くの中国企業が倒産しましたが、中国へ多くの機械製品を輸出していた日本の会社への影響も大きくなりました。

また、ドルやユーロに流れていた資金が、安全資産と呼ばれる円に流れ込んだため、円は急激に上昇し、その結果、輸出大国である日本の貿易収支は落ち込み、経済の悪循環が確定的なものになりました。

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