リーマンショック

リーマンショック

リーマンショックとは、2008年9月、アメリカの大手投資銀行「リーマンブラザーズ」が経営破綻したことがきっかけで世界的な不況をもたらした出来事を指します。

経営破綻の原因は、低所得者向けに行っていた住宅ローン(サブプライムローン)をもとに作られていた債権の回収ができなくなってしまったことと言われています。

リーマンショックの影響は世界中に広がり、日本でもリーマンショック後の1年間で約1万5千企業が倒産に追い込まれました。

サブプライムローンとは?

リーマンショック

サブプライムローンとは、当時多くの住宅ローン会社が販売していた金融商品で、低所得者向けの住宅ローンのことです。

当時、アメリカの住宅価格は年々右肩上がりだったため、お金が借りたい人が住宅を担保にしてお金を借りることができました。

亀吉
亀吉
つまりお金を借りて家を購入してその家が担保になるわけですな
たつお
たつお
今ではありえませんが、当時はフリーターでもこの方法で家を購入できていたんです

低所得者へのお金の貸し出しは、当然返してもらえないリスクがありますが、当時は土地の値段が高騰しており、家を差し押さえればリスクは低いと多くの住宅ローン会社は考えており、住宅は増えていく一方でした。

 

投資銀行への証券化

さて、サブプライムローンを貸し出している住宅ローン会社ですが、この方法でお金を貸し出しているとあっという間に会社の資金は尽きてしまいます。

そこでサブプライムローンの『債権』をリーマン・ブラザーズなどの投資銀行に販売して貸し出すためのお金を作ります。

亀吉
亀吉
債権(貸したお金を返してもらう権利)を住宅ローン会社は投資銀行に売ったわけですな
たつお
たつお
この債権には高い金利がもらえたので、リーマン・ブラザーズなどの投資銀行は喜んで購入していたわけです

住宅ローン会社は投資銀行から得たお金でサブプライムローンを低所得者に貸し出し、投資銀行は債権と高金利でウハウハな状態だったわけです。

投資銀行のリスクコントロール

高金利な債権をゲットする投資銀行ですが、さすがに住宅ローン会社がバンバン債権を売ってくるので、「さすがにこれは多すぎるんじゃ・・・」と考えます。

低所得者向けに貸し出しているローンですが、住宅が担保で家の価格はどんどん上がっているとはいえ、担保の家を回収できてもすぐに売れるわけではなく現金化には時間もコストもかかります。

そのため、手元の債権を別の人に売りつけようと考えます。それが『証券化』です。

手元にある高金利の債権ですが、はたから見れば結構リスクの高い金融商品です。これを今持っている自分が更に儲けられるように売るためにはなんとか見た目をごまかさなければいけません。

そこで投資銀行が取った行動が、このサブプライムローンの債権に社債や証券などをいれてセット売りという方法を考えつきます。

そして懇意にしている金融商品の格付け会社に良い格付けを付けてもらって、世界中に販売したわけです。

住宅価格の暴落

サブプライムローンが組み込まれた金融商品が世界中に出回った頃、住宅ローン会社や投資銀行の予想とは裏腹に地価は下がってしまいます。

証券化されてサブプライムローンがわかりにくくなっていた金融商品を持っていた人が資産を飛ばしたため、世界中で金融商品の売りが殺到しました。

亀吉
亀吉
売りが殺到した原因の1つは、投資家たちが、自分たちが持っている商品に『サブプライムローン』が含まれているかどうかがわかりにくかったためです
たつお
たつお
そのため、とりあえず危なそうものは売っておこうと考えた投資家が多く、本来なら売る必要のなかった金融商品までこの時は売られました

また、住宅価格の暴落は不景気を呼び、ローンを残したまま売却する人が殺到し、投資銀行はローンを回収できない事態になりました。その結果、リーマンブラザーズをはじめとする金融機関の経営が悪化、倒産に追い込まれました。

 

どんな影響がもたらされたのか

リーマンショック

リーマンショックが起こった結果、当事国であるアメリカは国内消費および他国からの輸入が著しく減少、2008年のGDPはマイナス成長となりました。

また、サブプライムローンを含む金融商品を販売していたヨーロッパでも影響は大きく、体力のない投資銀行が連鎖的に倒産し、資金繰りに困る企業が続出しました。

その後、経済安定化までには数年がかかり、失業率も数年間上がり続けました。

 

リーマンショックとコロナ時の失業率比較
日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス
2008 1-3月 3.9 5 5.2 7.8 7.3
4-6月 4 5.3 5.4 7.5 7.3
7-9月 4 6 5.9 7.1 7.5
10-12月 4.1 6.9 6.4 7.1 7.8
2009 1-3月 4.6 8.3 7.1 7.5 8.6
4-6月 5.1 9.3 7.8 7.8 9.1
7-9月 5.4 9.6 7.8 7.8 9.2
10-12月 5.2 9.9 7.8 7.6 9.5
2020 1-3月 2.4 3.8 4.0 3.6 7.8
4-6月 2.7 13.1 4.1 4.2 7.2
7-9月 3.0 8.8 4.8 4.5 9.1
10-12月 3.0 6.8 5.1 4.6 8.1
2021 1-3月 2.8 6.2 4.8 4.5 7.9

参照:労働政策研究・研修機構

 

日本への影響

当初、サブプライムローンにほとんど介入していなかった日本はリーマンショックによる影響は少ないとされていました。しかし、リーマンブラザーズの破綻により、アメリカ市場ではアメリカドルが徹底的に売られ、その代わり、経済が比較的安定していた日本円が多く買われました。

結果、当時1ドル104円だった日本円が、2008年9月のリーマンショックから約4カ月後の2008年12月には1ドル87円と急激な円高を記録しました。この円高により、多くの製品を輸出していた自動車業界や電気メーカーはアメリカ国内の需要減少によって大打撃を受けました。

また、日本では多くの資源を輸入に頼っているため、急激な円高による資源の高騰でコストが上がり、日本企業が経営は厳しくなっていきます。コストの急増で提供する商品・サービスも値上がりをせざるを得ない状況になり、日本国内の消費も落ち込んでいきました。