サーキットブレーカーとは、証券や指数の取引を一定期間停止させる規制手段のことです。
市場がどちらかの方向に大きな割合で変動した場合や、市場指数が壊滅的に下落した場合に作動します。サーキットブレーカーの目的は、市場参加者に合理的な取引の意思決定を行うために必要な休憩時間を与え、証券の過剰な投機的利益や損失、または市場での壊滅的な損失を防ぐために使用されます。
米国におけるサーキット・ブレーカー
米国で初めて市場全体にサーキットブレーカーが導入されたのは、1987年のブラックマンデーで、ダウ平均株価(DJIA)が1日で22%も下落した後のことでした。
しかし、ブラックマンデーの後に制定されたルールは、2010年のフラッシュ・クラッシュの防止には役立ちませんでした。そこで2013年2月、米国証券取引委員会(SEC)は、市場全体のサーキットブレーカーの新ルールを導入しました。
そこではダウに代わる新しいベンチマークとして、S&P500指数が選ばれました。市場指数の下落率は、S&P500の前日終値をもとに算出されます。
市場指数の変化率は、3つの階層に分けられました。レベル1の階層では7%の下落を基準とし、レベル2のサーキットブレーカーは13%の下落で発動、レベル3では20%の低迷を基準とします。
レベル1とレベル2は、午後3時25分以前に市場が下落した場合、15分間取引を停止しますが、午後3時25分以降に下落した場合は取引を継続します。レベル3はどのような状況でも取引日の残りの時間、取引を停止します。
日本におけるサーキット・ブレーカー
日本でのサーキットブレーカーは、先物市場のみ採用されています。
とはいえ株式市場にサーキットブレーカーが無いわけではなく、『特別気配制度』や『連続約定気配制度』という名前で同様の仕組みがあります。
特別気配制度は一度に大量の買い注文、もしくは売り注文が集まったときに一時的に取引が停止され、連続約定気配制度は、大量の買い注文、もしくは売り注文が、少量ずつ立て続けに出されているときに取引を一時停止する制度です。
どちらもサーキットブレーカーと同様、投資家が冷静な判断を取り戻すための時間を稼ぐ効果があります。