ダウ工業株30種(ニューヨーク平均株価)は、米国の株価指数に上場している最大手企業30社の業績を追跡する株価指数です。
アメリカの通信社ダウ・ジョーンズ社が集計・公表しているもので、当初は工業関係の株式30銘柄だけでしたが、現在では金融やIT関連企業などが含まれ「工業」の枠組みは取り払われています。
銘柄にはアップル、インテル、ゴールドマン・サックス、IBM、JPモルガン、ナイキ、コカコーラなど、米国を代表する30銘柄で構成されています。
アナリストが市場を追跡するために使用しているにもかかわらず、S&P 500やRussell 3000と比較して、Dow 30は米国の大企業30社のみを追跡しているため、米国の株式市場の正確なイメージは提供できていないという批判もあります。
採用銘柄30種
2020年8月31日現在 (シンボルのアルファベット順)参照:wikipediaダウ平均株価
ダウ工業株30種の計算方法
ダウ工業株30種のポイントは、指数の全株価の合計をダウ除数で割って算出されます。ダウ除数は、指数上の企業が株式分割を完了すると、その企業の株価に影響を与えるため、更新されます。
算出日のダウ平均=算出日の構成銘柄の株価合計÷算出日時点の除数
ダウ工業株30種の問題点
ダウ工業株30種の計算の欠点は、株価の高い企業が指数のポイントに影響を与えてしまい、株式市場の動きを分析する上で誤った指標となってしまうことです。
例えば、2020年2月に、アップルが1株あたり499.23ドルと最も高い株価を記録し、エクソンモービルが40.69、インテルが50.43をつけました。
この時、他の企業の株価がすべて同じであると仮定した時に、インテルが非常に良い四半期を計上して株価が20%上昇(10ドル)し、エクソンモービルも良い決算を出して株価が20%上昇(8ドル)しても、アップル一社が10%下落(-50ドル)した場合、インテルに比べてアップルの株価が高いことの影響により、指数が全体的に低下することになります。
したがって、ダウ工業株30種は、市場全体の動きを表す指標としては、あまり適していません。
そしてもう一つの問題点は、主に産業部門に焦点を当てており、公益事業や不動産部門を無視していることです。アルファベット、アマゾン、フェイスブックなどの大企業はこの指数に含まれていません。
しかしなおダウ工業株30種が使われ続けるのは、厳選された30銘柄であるからこそ、株式市場の動向を抽出し、より明確にとらえていると考えられているからです。