ウィリアム・ギャン(1878年~1955年)はまだテクニカル手法がない時代に、価格の動きには自然界との規則性・関係性があるのではないかと考え、幾何学、天文学、占星術、古代数字などを使用して、さまざまな投資手法を生み出したテクニカル分析の始祖です。
生涯勝率は8割という数字を持ち、現在の価格で言うと5000億円ほどの利益を作り出したトレーダーです。
ギャンの手法
ギャンは今でも熱狂的な信者がいる伝説のトレーダーですが、彼の手法を鵜呑みにする前に、手法がどのようなものかを理解する必要があります。
例えば、占星術を用いたものだと、ラードは金星、綿は太陽、大豆は火星ー木星の動きと関連性があると考えた事や、価格を干支に変換、例えば120ドルの商品を120°、獅子座0°に変換し経度の度数に変換した後の価格が惑星と同じである場合に傾向が変化するなど、現在では受け入れられそうにない内容のものがあります。
しかしローソク足の原型を作ったのはギャンとも言われていたり(酒田五法の本間宗久という説や、明治初期の無名のトレーダーによってなど様々な説がある)値動きには法則、季節要因などがあることを分析して体系をまとめた功績は後世に大きな影響を与えました。
ギャンファン
ギャンファンは9つのラインで構成されています。
中央の45°の角度のラインよりも上に価格があるならば強気トレンドで、下なら弱気トレンド。
基本的に価格はラインからラインを行き来するという考えに基づいており、ラインをブレイクしたら次のラインを目指します。
ギャンアーク (ギャンサークル)
ギャンアークの曲線は抵抗帯を示しています。フィボナッチやエリオット波動と組み合わせることが多く、両者の抵抗帯が一致したところはエントリーやイグジットの目安になります。
大きな波の開始点と折り返し地点で円を引き、価格が円をブレイクすると次の円まで価格が進む可能性が高いことを表します。
ギャングリッド
1×1の対角線を結んだラインをチャート全体に表示します。
ギャンは45°という角度を重視しており、価格はこの角度に沿って動く傾向があるため、ギャングリッドで視覚的にわかりやすく表示します。
ギャンの価値ある28のルール
ギャンは投資家として成功した要因を28のルールとしてまとめました。
1) 1回の取引で、取引資金の10%以上のリスクを負わないこと。(これでもかなりリスクが高いので、1回の取引で資金の5%以上のリスクを負うことは絶対にお勧めしない)
2) 常に逆指値注文を使う。
3) 過剰な売買は避けること。2つのポジションを持っている場合は、合計のリスクが1のルールに違反しないようにする。
4) 利益が一度出たら損失を出してはいけない。すぐにストップレベルを上げて、損失を出さないようにする。
5) トレンドに確信が持てない場合は取引をしないこと。決してトレンドに逆らってトレードはしない。
6) 迷ったら逃げる、迷ったら入るな。
7) 活発な市場のみで取引すること。
8) 異なる市場にリスクを均等に分散すること。1つの通貨ペアに1つの大きな注文をするよりも、3つの異なる通貨ペアに3つの小さな注文をする方が良い。
9) 指値注文はしない、つねに成行で購入すること。
10) 正当な理由なく手仕舞いしないこと。
11) 成功したトレードで得た余分なお金は、別の口座に移すこと。
12) スキャルピングはしない。大きな利益のみを狙うべきである。
13) ナンピンをしないこと。
14) 利確は待つ、エントリもータイミングが来るまで忍耐強く待つこと。
15) 損小利大は避ける。
16) ポジションを持つと同時にストップロスオーダーを出す。そしてこれをキャンセルしないこと。
17) あまり頻繁にトレードをしないこと。
18) 買いと売り両方を利用すること。エントリーの方向は重要ではなく、トレンドに乗ることが大事
19) 価格が低い、高いという理由だけで売買してはいけない。
20) 間違ったタイミングでのピラミッディングはしないこと。ピラミッドは、抵抗線を越えたり、支持線を破ったりしてから行うべき。
21) ピラミッドは、適切なタイミングであれば、絶対に取り入れるべき手法である。買うときは上昇トレンドの強い商品(または通貨ペア)を選び、空売りするときは明確な下降トレンドのあるものを選ぶ。
22) 負けているポジションのヘッジはしないこと。ヘッジではなく損切りをするべき。
23) 正当な理由なくポジションを変更しないこと。トレードをするときは、明確なルールに基づいて正当な理由で行う。そして、トレンドに変化があるという明確な兆候がない限り抜けてはいけない。
24) 大きな勝ちを得た後もロットを増やしたりはせず計画的なトレードを維持すること。
25) トップやボトムを推測しようとしないこと。
26) 他人のアドバイスに従ってはいけない。その人のトレーディングシステムが機能すると100%確信している場合にだけアドバイスを信用する。
27) 損失をだしたらその後は取引を減らし、決して増やしてはならない。
28) 間違ってエントリーをすることと同じく間違って手仕舞いをしない。