フラクタル・インジケータはMT4の標準インジケーターで、トレンドの反転を見極めるために用いられます。
著名なトレーダーであるビル・ウィリアムズが開発したことから、ウィリアムズ・フラクタル・インジケータとも呼ばれており、5本の並んだローソクのうち、真ん中のローソクが一番高値または安値を付けた場合に出現するというシンプルなものです。
時間の中で動きを繰り返すフラクタル
ウィリアムズは、著書「Trading Chaos」の中でフラクタル・インジケータを紹介しており、そのアイデアは数学的カオス理論に由来すると述べています。
数学の世界では、フラクタルとは基本的にあらゆる種類の繰り返しパターンのことを指します。
例えば野菜のブロッコリーは一つの茎が3本に分かれ、その茎はまた3本に分かれ、さらに3本に分かれるということを繰り返してあの形を作っています。
ローソク足にフラクタルを落とし込みますと、日足の反転箇所を4時間足で見るとダブルボトムやトリプルボトムなどの反転パターンを作っていたりしますが、さらにその4時間足の反転を30分足で見るとやはり同じ様にダブルボトムやトリプルボトムのような反転パターンを作っていたりするものです。
反転のサインとしてのフラクタル
さてここからは、当初の5本並んだローソクの一番高い(安い)価格を付けたフラクタルの話に戻します。
上記はフラクタルの理想の形で、このように綺麗な山の形になるのが良いですが、フラクタル・インジケーターは、外側2本の高さは逆転しても真ん中さえ一番高ければサインを出します。
このフラクタルは非常にシンプルなルールですが、必ずと行っていいほど、人間の目から見て目立つローソク足に出現します。
そのため、多くのインジケーターでローソクの頂点を読み込むためにこのフラクタルを利用していますし、フィボナッチを描く時などに、必ずこのフラクタルが出現しているローソク足を基準にするというルールがあります。
フラクタルを使ったトレード
フラクタルパターンが発生すると、価格サポート(強気のフラクタル)または価格レジスタンス(弱気のフラクタル)を示していると解釈されます。
これは、多くのインジケーターがフラクタルを使ってサインを表示している事、高速な自動売買ロボットにもフラクタルは意識されていること、とにかく目立つローソクにサインがでるため、世界中の裁量トレーダーにも意識されていることが理由です。
また、海外トレーダーの多くはフラクタルパターンを日足のピボットポイントやフィボナッチ・リトレースメント・レベルや移動平均線などの抵抗線と一致した場合に信頼性が高いと判断しますので、反転の正確なサインとなる可能性が高いのです。
フラクタルが完成しなかった場合
フラクタルは、連続したローソク足の5番目の終値で確認されます。
言い換えれば、実際に有効なフラクタルパターンが形成されたかどうかを確認するためには、5本目のローソク足の終値まで待つ必要があります。
しかし、フラクタル指標が完全に形成されなかったこと自体が、将来の価格変動の可能性を示す指標となる場合もあります。
例えば、弱気のフラクタルパターンを示す5本のローソク足のうち、4本が形成されたとします。
しかし、5本目のローソク足が示す価格行動は、4本目のローソク足よりも低い安値を示すのではなく、価格が新高値まで上昇し、形成されたパターンの3本目のローソク足の高値よりもはるかに高い値を示しました。
このようなフラクタルの完成を拒否した動きは、弱気のフラクタルパターンを無効にするだけでなく、実際には上昇トレンドが強く続くことを示しています。
フラクタルの欠点
フラクタルを利用した取引の欠点として、フラクタルパターンが通常の値動きの中で頻繁に発生し、トレーダーに誤ったシグナルを与えがちになることです。
そのため、フラクタルは単体で使用されることはなく、他のテクニカル指標と併用が基本となっています。
そしてフラクタルパターンを利用した取引のもう一つの欠点として、完全にフラクタルに従った場合に、完璧なエントリータイミングは望めないということです。
例えば、強気のフラクタルパターンの5本目のローソク足の終値で買いエントリーすると、市場の安値よりも大幅に高い価格レベルで買い付けを行うことになります。
さらに、フラクタルを損切り注文で使用すると、取引の潜在的な損失は許容できないほど高い金額になる可能性があります。